(

 

我が家はよく義実家からお誘いを受けて焼肉に行くのだが

さくらが歩き出してからは

 

「もうちょっと聞き分けがよくなってから・・」

 

と断っていた。

 

だってもう手を出して火傷するのが目に見えたんだもの。

私はまったく食べられないのが分かるんだもの。

 

だがしかし

 

「そんなもん連れて出ーへんかったら覚えるわけないやろ!

かわいそうに毎日家にばっかりおって!

たまには外に連れて出なあかんで!」

 

と義母さんからお怒りコール。

 

公園には行ってるってば!

 

なんてことはどうでもよくて、

とにかくさくらと一緒に外食に行きたいらしい。

 

 

分かった。では行こう。

どうなるか見ているがいい。

 

 

さくらは外出は大好きだからご機嫌さん。

知らないものがいっぱいあって楽しいからね。

 

目の前にあかあかと燃える炭火。

ジュージューと運ばれてくる石焼ビビンバ。

生肉にキムチにあつあつのスープ。

 

手を出すなって方が無理でしょ。

 

「ダメ!あついのこれ!火傷するってほら!

これはお肉!あー!キムチ触った手で口触ったら泣くで!

危ないってちょっと座ってて!じっとしてってもーーー!」

 

誰かが常に全力でつかまえていないと

本気で危なくて仕方がない。

 

 

さらにさくらのあの危険な何でも食いのせいで

その辺にあるものを持たせておくわけにもいかない。

 

「あかんってそんなもの渡したら!食べんねんって!

おじいちゃん聞いて!さくらはなんでも口に入れるの!」

 

「あああああ!」

 

そしてさくらは思い通りにいかなくてご立腹。

 

ほらみたことか!(とは言わないけど)

 

 

そのうち自由にならないことへ我慢の限界がきて

うねうねと座敷から抜け出して廊下を歩き始めた。

 

このお店は入り口で靴を脱ぐので廊下はきれいなのだが

中庭があったり、でっかい石が置いてあったり、

その中を水が流れていたり、厨房が覗けたりして

さくらの好奇心を刺激しまくり。

 

「こっちおいで。ダメだってそっち行ったら。

そこはお店の人だけなの。入っちゃダメ。こっち。

そこはよその人のとこだって。ほらこっちで遊ぼう

ちがうってこっち。そっちには行っちゃダメってば!」

 

お店の中なのでなるべく小さな声で言い聞かせるんだけど

もともと怒鳴ったってきかないさくらなので

完全にスルーですよね。分かってるけどね。

 

あまりのすごさに、階段を上りはじめたときは

あ~ここならしばらく楽だわ。と思ったほど。

後ろをついて落ちないようにしてるだけでいいもの。

 

私なにしに来たんだろ。

 

 

 

結局さくらは最後まで階段を上ったり下りたり

中庭の石臼に手を入れてみたり

小石をひろったり非常灯をべしべしたたいたり

店員さんに愛想をふりまいたり

他のお客さんの座敷の前にちょこんと座ってみたり

 

終始笑顔で探検していた。

 

普段は娘をほったらかして食べる事に集中する夫も

時おり相手をしてくれるほどすごかった。

 

 

このとき、

 

これ無理にでも座らせるべきなんだろうか。

こういうしつけって今からするべきなんだろうか。

泣かせてでも押さえつけとくんだろうか。

でもまだ分かってくれそうにないから無理よね。

 

と思ったのをよく覚えている。

 

 

実際話が通じるようになって、

それを理解して自分なりに納得するまでは

どんなに場数を踏ませても、諭しても、怒っても

さくらの行動が変わることはなかった。

 

成長を待たなければならないこともあるということだ。

 

 

 

様子をみましょう

 

「成長すれば分かるようになると思うので様子をみましょう」

 

この様子をみるとは、何もせずに見ていることではなく

成長して分かるようになる頃合いを見計らって

適切な支援をしていきましょうということ。

 

今までどんなに説明しても分からなかったことが

ある日突然バチッ!と繋がる時がある。

 

そこを見逃さずに「これはこういうことなのよ!」

と教えれば、ああそうかとすんなり入ってくれるのだ。

 

この達成感といったら。

 

 

さくらのしつけはひとつひとつがゲームのようだった。
ほんの些細なことでもいくつものミッションが課される感じ。

 

攻略本はないので、その都度必死に考える。
私はこの方法が好きだったし、さくらにも合っていたと思う。

 




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とことこ自在に歩けるようになったさくらは
私が家事をしているのをせっせと追いかけてきては
いちいちちょっかいを出すようになってきた。

 

後ろから近付いてくると見えないので
気をつけていないと蹴り飛ばしそうで怖い。

 

これは後追いなのかな?とちょっと思ったけど、
近くに私がいないと不安というよりは

 

何か面白そうなことをしてるぞ!
早く行かなくては!

 

って感じ。

 

台所に立てば、そのおたまを貸せ!お鍋を渡せ!とうるさくなり、

渡すとバンバンカンカン!うるさいし、

冷蔵庫の引き出しをあければすっ飛んできて

中身を投げてかじってばらまいてゆく。

 

ストップ!やめい!

 

いつもいつもいつもされると

もうビニール袋なんかどうでもいいわ。

好きに遊んでおくれ。

 

って気分になる。

 

 

それと、掃除機をかけるのが大変。

 

掃除機を出すやいなやすっ飛んできて
あちこち触って研究しなくちゃ気がすまない。

 

うぃーんって電源が入るともう面白くて面白くて
動く吸い込み口を手で押さえたり足で踏んだり
コロコロ動く本体を追いかけたり電気コードを引っ張ったり

 

挙句の果てにはコンセントを抜く。

 

んもー!

 

じゃぁもう好きなだけ研究してていいよ。

飽きるまでやっておくれ。

 

なんて渡そうもんなら、掃除機を分解して

ゴミをそこらじゅうにまき散らしてしまう。

 

そして食べる。ぱく

 

やーめーてー

 

 

そんなわけで、どんどん部屋にものがなくなって、

さくらの手の届くゾーンはきれいさっぱり。

 

なので余計に目新しいものが出てきそうな時は

目を光らせてやってくる。

 

悪循環と言うんだろうかこれ。

 

 

 

 


 

 

写真を探していると動画が出てきたのでアップ。

 

さくらが産まれる前のデジカメ(15年以上前?)の

録画機能で撮ったものなので画質が悪いです。音声は消してあります。

 

 

 

ここはおばあちゃん家。

 

 

まだ足がしっかり上がらなくて、

ちょっとしたものにもつまづいてしまうので

座布団がテーブルの下に入っている。

 

一瞬ぬいぐるみを指さすのが分かるかな。

興味の指さしですねこれ。

 

あとだいぶ声をかけてるんだけど

まったくこっちを見てないというのも特徴的。

(健常の赤ちゃんだと、時々人の顔をチラっと見る)

 

 

さくらが開けてしまう戸棚にはマスキングテープが貼られているし、

おもちゃ以外は床になにも転がっていないという空間。

いろんなものは全て棚の上。

 

向こうでぐだ~っと寝てるのがレオンです。

 




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夕方突然さくらが吐いた。

今までにないくらい大量に。

 

わぁ。なんだなんだ。

 

ちょっとおやつを食べすぎたかな?

と特に心配もせずティッシュで拭いて片付けていると

またごえごえ言い出して吐いた。

 

え。なんだろう。

 

2回も続けて吐くなんて今までにない。

それに量が多い。

 

しばらく様子を見ているとまた苦しそうな咳をする。

どうやら吐き気が強いのにもう吐くものがなくなって

でも胃液が逆流するので息が出来ないといった感じ。

 

おいおいちょっと大丈夫かよ。

はい息吸って。我慢せずに吐いちゃえ。

 

とか言っても通じてるのかどうか。

 

 

 

熱はないし、下痢もしてないし、なんだろう?

胃腸炎かな。単なる食べ過ぎかな。

 

と様子を見ようとしたとき、

夫がすごい一言を。

 

 

「何か飲み込んだんかな。」

「俺、釣り道具部屋中に広げてたからさ。」

 

 

な、な、なんですと!?

 

部屋に入れたの!?

釣り道具を広げている部屋にさくらを入れたの!?

 

何か食べたの!?

 

「いや。気を付けてはいたけど・・・・わからん。」

 

えー!

 

娘を見ると機嫌はいい。

ただ吐き気は治まらないらしく数分おきにげへげへ苦しそうに吐く。

吐くときは泣くけどすぐケロっとする。

 

うーん。大丈夫そうに見えるんだけど。

 

何か飲み込んだとしても

あれだけ吐けば飲んだものも出てくるよね?

 

「出てこないから吐き続けてるんちゃうやろな。

何かひっかかってるとかさ。」

 

どんどん怖い事を言う夫。

判断基準がまったくないのでどんどん不安になる私。

 

 

土曜。時刻は夕方。

普通の病院はとっくに診療時間を終えている。

病院に連れて行くなら救急しかない。

 

でもなーこんな症状で救急ってのはなー

もうちょっと様子を見てからでも

 

とか言ってる間にも吐き続ける娘。

もう泡しか出てこない。

 

お茶を飲ませてもすぐに吐いてしまう。

って吐き気が治まってないのに飲ませるんだから当たり前なんだけど。

 

「ええやん。救急で見てもらおうや。

それでなんともなかったら安心やし。」

 

 

まぁ、そうやな。

でも救急の小児科ってどこにあるん。

 

夫に心当たりがあるらしく車で出発。

タオルとビニール袋をいっぱいかかえて。

 

娘は車に乗った途端「あらお出かけ?」と笑顔になって

うはうはと外を眺めている。

 

吐き気もしだいに治まってきたのか

吐かない時間が長くなった。

 

 

あれ?もういいんちゃう?

 

 

「いや、せっかくやから診てもらおう。

なんともなかったら心置きなく釣に行けるし。」

 

おい。まだ夜釣りに行くつもりだったのか夫。

薄情なお父さんやなぁ。

(夫は夜釣りに行く予定だったので釣り道具を広げていたのだ)

 

 

夫の実家近くの総合病院に到着。

正面玄関から入ってそこいらにいる看護婦さんに聞くと

なんと小児科の先生がいないらしい。

 

調べてから来いってな。

 

でも丁寧に救急で小児科をやってる病院を教えてくれたので

疲れて眠たくなった娘を抱いて向かう。

車が動くとすぐに寝てしまった。

 

いやだからさ、もういいんちゃう?

落ち着いちゃってるし、顔色もいいし、息もしてるし。

 

「まぁせっかくやから。」

 

そうこう言っている間に教えてもらった総合病院に到着。

寝ていた娘も起きる。すこぶるご機嫌♪

 

 

救急の受付に名前を書いて問診表に記入する。

 

あまり混んでなかったのですぐに呼ばれて

かわいい女医さんに診てもらう。

 

症状が出始めた時間と継続時間。

おやつに食べたものなどを言って

誤飲の可能性も切々と訴えたんだけど

ものすごーく機嫌のいい娘をちゃっちゃと診察。

 

「大丈夫そうですね~

何が原因ってはっきりは言えませんけど、熱もないし下痢もないし。

第一機嫌がいいのでウイルス性じゃないですよ。

吐き気も治まってるようですし、心配はいらないと思います。

見た感じ点滴も必要ないですね。」

 

やっぱりなー。

すみませんこんなんで連れてきちゃって。

 

 

「嘔吐で来るお子さんは皆ぐったりしてるんですよ。

ウイルス性にしろ誤飲しろ、これだけ機嫌がよければ可能性は低いです。

この後のご飯は少しずつ様子を見ながらあげて下さい。」

 

はーい。ありがとうございました。

 

 

さっさと帰宅。

お腹が空いてるだろう娘にミルクを作る。

全部吐ききったんだからお腹空っぽだよね。

 

でも一応先生が少しずつと言ってたので50ccだけ。

全部一気に飲みきっだけど、吐く様子はない。

 

ほっ

 

それを見届けた夫は予定通り友人と夜釣りへ。

 

 

やっぱり行くんかい!

 

 

 

 

自閉症の嘔吐

 

自閉症の子の中にはいろいろな理由で嘔吐を繰り返す子がいる。

 

嫌いなものを食べたとき。

自分は好きで食べているのに体が受け付けないとき。

不安なとき。

過度なストレスを受けたとき。

 

などなど

 

さらにこれに脳の機能不全が重なり

もう吐く必要がないのに嘔吐が止まらないという症状が出る子もいる。

 

娘がこれだ。

 

何かちょっとした刺激で嘔吐をすると

そこからなかなか吐き気がおさまらなくなる。

 

これは吐き気止めの座薬で落ち着くんだけど

ノロなどの胃腸炎でも同じような症状が出るので

吐き気止めを使っていいのかどうかの判断が難しい。

 

 

てんかんがあるのかと心配したけど

今すぐにどうこうってわけでもないしと主治医と相談しながら、

結局検査をすることなくきてしまった。

 

中学になった今でも普通の子よりは吐いてると思うけど

1~2回でおさまるようになったし、

本人は案外ケロっとしてるのであまり心配はしていない。

 

 

ただすごいなと思うのが「体が受け付けないものだけ吐く」というもの。

 

夕飯を食べた後にバニラアイスを食べて

 

「あー、これダメだったわ」

 

とトイレに行ってアイスだけを吐くのだ。

一種の特技かと思うほど。

 

 

でもやっぱり吐き気自体はしんどいらしい。

そらそうか。

 




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発音できる種類が増えて

フランス語のようなさくらの言葉が

ちょっとだけ日本語に聞こえるようになってきた。

 

「にゃに?」「にょこ?」

「ふぅん?」「あにょん?」

など、疑問文のように語尾をあげたり、

 

「あにょこ」「こり」「あり」とか

指をさしながら言ったりすると、

 

分かって使ってる!?と思うこともしばしば。

 

でも「これ?」と聞いても「これ」とは言ってくれない。

うーむ・・・

 

 

まだしっかりしゃべることはできないけど

こっちが言うことはほぼ分かっている。

 

トニーは?と聞くとトナカイのぬいぐるみを取るし、

ネンネする?と聞くと自分でベッドに行く。

 

ばんざーいと言えば両手を上げるし、

はーいと言うと片手を上げる。

 

いろいろ話しかけても反応はいいし、

さくらからいろいろ言ってくることも多い。

何言ってるか分からないけど。

 

ただ。

 

ただですね。

 

「ダメ」だけがどうしてもどうしても通じない。

 

コタツの上に足をかけるたびに

その足を払いのけながら「ダメです」「いけません」

を繰り返し繰り返し、それはもう毎日のように言い続けていたら

足をかける頻度がどんどん下がるんだけど、

一度見過ごして登ってしまうとまた最初からになる。

 

要するに全然わかってない。

 

ふすまをコリコリしてぴーっと破るのも

近くでどれだけ大きな声で怒鳴ろうと

完全無視で作業を続ける。

 

やめさせるにはさくら自体を移動しなければならない。

 

でもそうすると、

ふすまを破らせてた方がマシかと思うほどの大抗議。

 

それでも手を持ったり、触る前に阻止したりして

「ダメ!」「いけない!」

と何度も何度も繰り返すけど

 

まったくやめる気配がない。

 

 

一度プチっときて力の限りに

「ダメって言ってるでしょ!」と怒鳴りつけて

さくらをふすまから引きずり離したことがあるけど、

 

ごめんね!ごめんね!と言ってきたのはレオン(犬)だった。

 

あんたは何もしてないでしょう。

レオンを叱ってるんじゃないから大丈夫だよ。

 

と思わぬフォローをすることに。

 

 

で、肝心のさくらは平気のへーでふすま破りを続けていた。

 

ダメだこりゃ。

 

 

 

 

 

こだわり行動

 

さくらのこのぴっと出ているものを引っ張るという行為は

そのものを見るとどうにも我慢ができないらしく

中学生になった今でも根強くある。

 

例えば私の足のカサカサかかとを見ると

がしっと足を持たれて

コリコリコリコリコリ

と皮をめくられるし、

 

ささくれなんか見つけられたら

さっと手を引かないと血を見ることになる。

 

ただ、見えなければわざわざ私の足をコリコリしにこないので

やりたくてやってるというよりは

見るとむずむずしてきれいにしたくなるということだと思う。

 

平らな方が安心するのかも。

 

 

 

そう思ったのは

さんざん破ってこれ以上やったらふすまが壊れるという時に

きれいに張り替えたらピタっと破らなくなったときだ。

 

あれは最初にちょっと破れていたのが気になって

平らにしようと頑張っていたのかもしれない。

 

だとしたら悪いことをしたなと思った。

 

頑張れば頑張るほどボロボロになって

それでも一生懸命きれいにしようとしてたのに怒られて。

 

レオンはそれが分かってて

「怒っちゃダメだよ」と言ってたのかも。

 

どんな行動にも理由があるんだろうな。

それを見つけられる想像力が欲しい。

 




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*レオンのご飯を取って食べようとする

 

さくらが自分で動けなかった時の離乳食は

鳥にエサをあげているような感覚で

ひょいぱくひょいぱくと難なく食事ができていたのに

 

立ったり座ったり歩いたり登ったりが

自由自在にできるようになってから

 

ちっともじっとしてない!

 

 

手すりがついている子供用の椅子を

がっしりテーブルにつけているので

自分では下りられないようになっているのに

 

後ろを振り向いたり、立ち上がったり、

変なところに足を突っ込んだり、

椅子の上に正座してみたりと

まったく食事に集中してくれない。

 

自分で食べさせればいいのかなと思っても

お茶碗やすぷんで遊ぶだけで

ご飯はあまり口に入っていかない。

 

「これはごはんだよ。あーんって。

そっちはお魚だよ。おいしいよ。」

 

とやさしく話しかけるのはほんの一瞬で

 

食べるのはご飯なの!

お茶碗じゃなくて!

すぷんも食べない!

 

どこ行くの!

ごちそうさましてないでしょ!

こら!!

 

と怒ってばかり。

 

 

これにほとほと参ったので

さくらの食事中はテレビをつける。

 

ピ!

 

するとテレビをじーっと見てくれるので

その間にほいほいと口に運ぶ。

 

楽だ~

 

 

でもこれは良くない。

分かってるけどこれが一番楽なのよ。

 

ああでもこれは良くないって知ってる。

いやでもこの方が楽なのよ。

 

ああああでも!

 

 

と葛藤しつつ、時々罪悪感が襲ってくるので

そんな時はテレビを消してご飯を食べる。

 

 

前半はなんとか椅子に座らせてあれこれ語り掛け

飽きないように楽しませながら。

 

でも後半は逃げようとするさくらを羽交い絞めに抱っこして

なんとかその場で食べさせる。

 

ダメだ。これしんどい。

テレビつけていいですか。

 

の繰り返し。

 

 

でもさくらは「いらない」とは言わない。

 

すぷんを口に近づけるとあーんと口を開けるし、

おいしい?と聞くとにっこり笑って首をかしげる。

 

「どこかへ行くようなら、ごちそうさまねと声をかけて

すぐに食事を下げるようにしましょう。」

 

と聞くけど、そうするとほとんど食べないまま終わってしまう。

だって帰ってこないんだもの。

 

「もういらないの?もうちょっと食べようよ」

 

と、さっき言ったことと違うことを言ってる自分にも気持ち悪くて

結局「せめて半分は食べて!」と今日も羽交い絞め。

 

 

昼寝もたっぷりするので、おやつで補うこともできず、

必要な栄養をさくらが座っているときだけで食べさせようとすると

かなり無理があった。

 

そんな時はもうミルク。

ミルク飲んでれば大丈夫と自分に言い聞かせて。

 




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我が家にはゴールデンレトリバーがいる。

名前はレオン。

 

もともとは私の母の犬なのだが、

人間の勝手な事情で6歳まで寂しい思いをして育ってきた。

 

太り過ぎてまともに歩けない、毛玉まみれ、

耳の中には大量の黒カビ、散歩もされず1日中寝ているだけ。

 

そんな酷い状態を知って私が引き取り、

(それも動物不可のマンションに無理言って!)

飛び跳ねられるくらいに元気になったのだが

 

そこへ

 

さくら登場。

 

 

この時レオンはもう8歳。

人間でいうと60を過ぎたころか。

 

今までは寝たい時に好きなだけ安心して昼寝をしていたのに

さくらが動き出してからは落ち着いて眠れなくなった。

 

他のものと同様にさくらの目に止まってしまえば

どんなに気持ちよく寝ていようとお構いなしに

ダイナミックな攻撃を受ける。

 

這うようになった頃には鼻をおもいきり噛まれて「ひゃん!」って鳴いてるし

なぜか足にも噛みつくし、歩くようになれば踏みつけに行く。

耳は引っ張る、毛は引っ張る、

挙句の果てには背中に乗ろうとする。

 

それでもレオンは吠えたり噛みついたり、

手を出したり、押し返したりもせず、

ひたすら耐えて耐えて

我慢の限界がくるとそ~っと立って移動していく。

 

でもレオンが立つとさくらのちょうど目の前にしっぽがくるので

ふっさふっさと揺れるしっぽを追いかけてしまう。

 

 

これ、どうしたらいいんだろう。

 

 

さくらにダメよとは言ってみるけど通じないし、

レオンにもっと仲良くしなさいというのも変だし。

 

でも2人で仲良く昼寝してたり

レオンがさくらの後をついて歩いてみたりするので

心底いやがってるわけでもないらしい。

 

 

 

 

相手が嫌がっていても気づかない

 

少し大きくなって気が付いたのは

さくらは「相手が嫌がっていても分からない」ことだった。

 

小さい子でもお母さんが怪我をしているのを見ると

「いたいいたい」と言ったり、よしよししたりといった

自分にされたことを思い出し、置き換えて対応することができる。

 

でもさくらは、お母さんが痛いとは分からない。

 

自分が痛くないから。

 

他者への共感ができず、また自分と相手の境界線も曖昧なので

「私は痛くない」で終わってしまう。

 

 

それよりもさらに高度は

「嫌がっている」という素振りを読み取ることは

教えてもらったとしてもよく分からなかったらしい。

 

 

そんな状態なので犬の表情や態度を読み取って

嫌がってることはしないように。

 

なんて無理だよね。

 

 

この時期レオンはストレスで自分の手足をなめてなめて

とうとうハゲを2ヶ所作ってしまった。

 

そもそもレオンは寂しい時期が長かったこともあって

常によしよししてあげる必要があったのに

そうとう我慢していたんだろうな。

 

ただ、レオンも「イヤだ」と上手に言えてなかった気がする。

どっちもどっちか?

 




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10ヶ月になろうかという頃、

さくらは指さしを覚えて人を使うようになった。

 

触りたいのに手が届かない。

見たいのに背が足りない。

 

という時に、両手を広げて「ん!」とやってきて

抱っこされると「ん!」と行きたい方向に指をさす。

 

そうすると連れて行ってもらえるわ!と気付いてからは

「ん!」のオンパレード。

 

インターホンを押す。

カレンダーをべしべしたたく。

観葉植物の葉っぱを触る。

 

さくらが指をさす方向ではなく

私がこっちにしようと違う方向を指さしても

さくらの目線は自分の指の先のみ。

 

私が指さした先を見ることはなく、自分の行きたい方向に体を向けて

「ん!」「ん!」「んーーー!」と私を引っ張る。

 

なんか操縦されてる気分。

 

 

 

 

指さしとは

 

10ヶ月くらいの赤ちゃんだと「興味のあるものに指をさす」ので

さくらの指さしは一見普通の発達に見えたのだが、

 

私が指をさした方向を見もしないというのは

指をさしたものを人と一緒に見る「共感」がまったくないということ。

 

これはよろしくない。

 

赤ちゃんが指をさしてお母さんの顔を見る。

一緒に見て!という意味で顔を見る。

お母さんが応じて返事をしつつ

違う方向を指さすと赤ちゃんもそっちを見る。

 

これが「共感」

 

この共感がさくらにはほとんどなかった。

 

触りたいのに触れないから人を使う。

見たいのに見えないから人を使う。

 

これはクレーン現象に近い。

 

 

 

クレーン現象とは

 

積み木がうまく積めない時などに、

お母さんの手を引っ張って積み木を取らせようとしたり、

 

お菓子が欲しい時に自分で取るのではなく

お母さんの手を持って代わりに取らせようとする行動。

 

健常の赤ちゃんは、指をさしたり、声を出したり、

お菓子を持ってお母さんに渡したりするのが一般的だけど、

言葉や指さしが苦手な自閉症児は

自分のしたいことを達成するために

お母さんの手を道具として扱う。

 

さながら自分が運転手で、お母さんの手がクレーンというように。

 

 

 

この指さしと、クレーン現象を考えると

さくらの「ん!」は高度なクレーン現象だった気がする。

 

私の手を持って動かすことはなかったし

指さしそのものの行動はあったので

判断が難しいところではあるけど、

 

やっぱりさくらは1歳、2歳になっても

私が指さす方向を見ることが苦手だった。

 




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気がつけばさくらが這わなくなっていた。

 

ちょっと前までは歩く事には意欲的だったけども

素早い移動にはハイハイを使っていたのに。

 

今や移動手段は2速歩行だけになっている。

 

なんでこんなにてこてこ歩いてんの!?

いつこんなに早く歩けるようになったの!?

 

 

歩きながらの方向転換もスムーズで

足に引っかかるものさえなければ

結構なスピードで移動している。

 

でも違う。なんか違う。

 

歩きはじめの赤ちゃんの「よちよち」ではない。

たどたどしく助けてあげたくなるような「よちよち」ではない。

 

 

全然かわいくない!

 

 

両手はくいっと曲げられ体の横に。

頭というか顔全体は前に突き出て

足は左右に蹴りを入れながら前へ前へ。

 

まるでエリマキトカゲ。

 

なんかもう走ってる?

 

そんで行くぞ行くぞの顔に置いていかれた足がもつれて

おもいっきり前方にびたーんと転ぶんだけども

泣きもせず、懲りもせず

 

また立ち上がっててこてこてこてこ。

 

 

もう家の中だけでは狭いので

さっそく先日買った新しい靴を履かせて出かける。

 

家からほど近いところに遊歩道があるので

そこまでベビーカーで連れて行っておろす。

 

 

さぁ歩きなさい。

ここならどこまでも行けるよ。(全長2km)

 

 

当然、初めての靴を履いてとことこ歩けるはずもなく、

びたんと転んで手をつき、こてんとしりもちをつき

あっという間に全身汚れまくり。

 

でもさくらは振り向きもせずどんどん進む。

 

 

落ち葉食べちゃダメだって!

あ!こら!ベンチも食べない!

 

とうるさい私を避けるかのようにどんどん進む。

 

 

これ、ほっといたらどこまで行くのかな。

私が追いかけるから振り向かないのかな。

ひとりになったら不安で泣くかな。

 

と思って、遊歩道の前後見渡す限り誰もいないことを確認し、

ベンチに座ってさくらを見守ることにした。

 

 

とことこ べしゃ むく とことことこ

 

とことことことこ べしゃ むく とことこ

 

とことことことことことこ

 

 

 

まじですか。

 

 

「さくらー!おーいさくらー!待ってー!」

 

 

大きな声で呼んでみてもこっちに向かってくる様子はない。

振り返りもせずどんどん向こうへ行く。

 

やばいやばい。さすがにやばい。

 

 

ダッシュでさくらを捕まえに行く。

 

なんとか追いついてぱっと持ち上げて

くるっと向きを変えて地面に置くと

ベビーカーを置いてある方向に再びとことこ

 

なにこれ・・・

 

 

 

 

 

自閉症の多動

 

これぞ多動ですね。

この時はまだ「多動」という言葉すら知りませんでしたが。

 

  • 興味がないことへの集中力がない
  • じっとしていられない
  • 考えずにぱっと行動する

 

って、こんなのどの赤ちゃんにも当てはまるけど

実際にさくらを見ると、あー普通と違うわー。とよく分かる。

そのくらい親に対してコンタクトがない。

 

さくらはADHD(注意欠陥多動性障害)の診断はなく、

自閉からくる多動だけど、見た感じは同じ。

 

 

この時は6ヶ月頃にはなんとかできていた

「ベンチで私の膝にさくらを座らせて周りを見る」

ということがもうできなくなっていた。

 

何もせずじっとしていることができない。

自分で動きたいと思ったら我慢できない。

それも常軌を逸して。

 

さくらはそんな赤ちゃんだった。

 

 

でもまだ小さいから分からないんだ。

もう少し大きくなって話が分かるようになれば大丈夫。

 

そう思っていた。

結構大きくなってもそう思っていた。

 




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さくらもしっかり立てるようになったので、

ベビーカーから降ろした時とか

抱きなおす時にちょっと立ってもらうとか

靴があった方が便利だなと思う場面が増えてきた。

 

というわけで

いざ靴を買いに近所のショッピングセンターへ。

 

そこでキッズスペースが目にとまった。

 

やわらかい素材で全面が敷き詰められていて

ぶつかっても痛くないように柱になにか巻いてあったり

置いてある積み木もやわらかかったり

なんかいたれりつくせり。

 

そろそろこういうところで遊べるんじゃないかな。

 

さくら、遊ぶところだよ。

ちょっと入ってみようか。

 

ベビーカーからおろしてキッズスペースに立たせてみる。

どういう反応するかな。

 

 

じーーーーー

 

 

お。お得意の観察ですか。

初めての場所だもんね。

 

でも特に私にしがみついたりはしていない。

 

そのうち目の前で遊んでいた1歳くらいの女の子が気になり、

近づいたかと思うと持ってるボールを奪った。

 

あ!こら!すみません。ごめんね。

お姉ちゃん使ってたでしょう。はい返して。

 

なんだくれないのかよ。

 

と思ったのかどうなのか、

床に転がっている積み木を拾って遊び始めた。

 

ただすぐ口に入れるのでそれを阻止するのが大変。

べろんとなめるとすぐにハンカチを出して積み木を拭く。

 

ふきふき

 

やっぱりなんでも口に入れる時期って

こういうところよくないかな。

 

だって他のお母さんの視線が気になるんだもの。

 

さくらがしたいことを助ける以前に

私が周りからどう見えてるか、どう思われてるかが気になって

きょどきょどしてしまう。

 

 

そんな私の心中はお構いなしに、

さくらはあっという間にキッズスペースに慣れてしまった。

 

結構広いんだけど、向こうの端っこまでしゃかしゃかと移動して

3歳くらいの飛んだり跳ねたりしてる男の子を追いかけたり

見知らぬおばさんに擦り寄っていったり

 

そのたびに、すいません。ほらこっちおいでって。

とぐるぐる追いかける私。

 

 

なんか想像してたのと違う。

 

このくらいの赤ちゃんってお母さんと一緒に座って

手の届く範囲で遊ぶもんじゃないの?

 

それかお母さんの服を片手で持ちながら

おそるおそる行動するとかさ。

 

 

追いかけるのに疲れたので

人の邪魔になってない時には見守ることにした。

 

なんか距離が遠いけど。

 

わざと私から遠くで遊んでる・・?

 

 

 

なんでさくらは一度も私を見ないで

どんどんどん行っちゃ・・・

 

あ!こら!出ちゃダメ!

 

 

コーナーの囲いを乗り越えて出たよちょっと!

どこに行くんですかー!

 

 

わしっと捕まえてキッズスペースに戻すんだけど

しばらくするとやっぱり外に出てしまう。

 

その空間にいるのがイヤというよりは、

囲い(大人が座るのにちょうどいいベンチになっている)に手をかけて

おもちゃ売り場が目に入ると、そっちに気が向くといった感じ。

 

こんなバタバタしてる親子いないんですけど、

どういうこと?(そういうこと)

 

 

さくらを遊ばせながらゆっくり休憩なんて

夢のまた夢ということが分かったので

早々にベビーカーにつっこんで買い物開始。

 

「んぎーーーー!きーーーー!あーーーー!」

 

え!ベビーカーから降ろせってこと?

 

 

ちょ、これよくない展開。

 

ほらさくら、靴だよ。くっく

どれがいいかな~。ほらこんなのもあるよ~。

ちょっと履いてみようか。お母さんと一緒のくっく♪

 

となんとか靴に気を向けさせた。

 

 

 

でも、靴を履いて歩けるくらいになったら

お母さんの近くにいないといけないって分かるよね。

今はまだ小さいから仕方ないか。

 

と、この時は本気で思っていた。

 

これはまだ序章に過ぎないとも知らず。

 




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さくらが9ヶ月になり、私は育児書を読むのをやめた。

 

「0歳から1歳半までの育児大百科」という本を買っていたけど

ほとんど参考にならないのでブックオフに売った。

 

育児雑誌も買っていたけど、この月からやめて

古いのは全部捨ててしまった。

 

*応急処置の別冊だけは取っておいた ←これ大事!

 

 

 

世の中の平均を知ってそれに合わせるのではなく、

目の前のさくらという人間に向き合って行こう。

 

さくらが欲しているものを与え、

嬉しい、楽しいと思えることをたくさんして、

 

 

「生きるってすばらしいと思えるように」

 

「人と違ってもそれを誇れるように」

 

「なにより自分自身を大好きになれるように」

 

 

私は9ヶ月になったさくらを前にそう決めた。

 

 

 

さぁ、さくら、一緒に手をつないで行こう。

 

大丈夫。

お母さんは人と比べられて同じようにしなさいと言われたり、

イヤなら自分で道を作ってひとりで進みなさいと放り出されることが

どんなにつらく、しんどいことかよく分かってる。

 

さくらはさくらのままでいいし、

誰が何を言っても気にする必要はない。

 

レールを敷くつもりもないし、

好きにしなさいと手を離すつもりもない。

 

人間の社会というのは表と裏があって複雑だし、

日本という国の教育システムはおかしいから

絶対どこかで引っかかると思う。

 

だからこそ一緒に考えながら進んで行こう。

 

 

と、へこへこ歩いているさくらの片手を取って

手を繋いで歩けないもんかとやってみたけど

どうもバランスが取りづらいらしく

すぐにくるんと回ってしまう。

 

ぶら下がってる?

自分で歩くのは一緒なの。手をつなぐだけ。

 

とやってみても、やっぱりくるんと回ってしまう。

 

さくらは前に進めないじゃないかと怒って

手を振りほどいて1人で行ってしまった。

 

 

おーーい (( ̄▽ ̄)ノ

 




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