さくらちゃんスペース(年少)

私はさくらの幼稚園で「発表会委員」というものに属している。

生活発表会は2月にあってその衣装を作るのが主な役割と聞いた。

そして今日は発表会委員招集日。

いったい何をするんだろう。

どきどき

「えーっと、今日は衣装の生地を切る作業です。

型紙がありますので、線を引いて切ってください。

それぞれに必要な枚数は型紙に書いてあります。

緑、黄色、赤とありますので、3人ずつ分かれて作業をして下さい。

今日、全て切り終わるのが目標です。」

という説明を受けてはいスタート。

切るのは布ではなく大きな大きなフェルト生地。

そして私は瞬時に

布に線を引いて切るということは

その布を見続けなくてはならないということだ。

そうなると赤は論外だ。黄色もかなりつらいだろう。

青は少ないからあっという間に終わってしまう。

ということは緑しかない。緑だ。緑の作業をするんだ!

と判断して、緑色のフェルトがある場所にしゅぴっと移動して

「すみませ~ん 緑させてもらっていいですか~?」

と入り込んだ。

フェルトを広げる。

型紙を置いて指定された枚数の線を引く。

線を引き終わったら切る。

切り終わったらその生地がどの部分なのかを端っこに小さく書いておく。

その後1人分ずつに分ける。

特に難しい作業はない。

目の前の仕事をもくもくとこなすだけなので苦痛もない。

台が低すぎて「あー腰がー」とか、

座って続けて「あー足がー」と口に出すだけで

そこらへんにいる人が返事をしてくれるので寂しくもない。

自分がしている作業が終って「終りましたー」と声をかけるだけで

次の仕事がささっと目の前にやってくる。

らくちーん

あっという間に緑色が終ったので

ひょいと後ろを見ると黄色と赤はまだてんこもりに残っていた。

何やっとんの。

「あ、終ったんならこっち切ってもらえます?」

・・・・

黄色だな。赤は脳が沸騰しそうだ。

「じゃぁ黄色お手伝いします~」

とかなんとかしながら、予定の時間までに全ての生地を切り終え

子どもの名前が書いてある袋に入れるところまで進んだ。

縫うのはどうやら個別らしい。

あれ?

発表会当日は何も仕事はないと聞いているから

もしかしてこれで・・・

「はい。終りました。

あさっての水曜日も予定してたんですが今日全部出来たので

発表会委員のお仕事はこれで終わりです。

みなさーん 発表会委員お疲れ様でしたー。」

まじですかい。なんて楽なんだ。

こりゃ来年も発表会委員になろーっと。

でも絶対に役員だけにはならないぞ。

この作業の段取りを考えたのは役員さんだ。

先生から言われた衣装を作るのに何色がどのくらい必要か計算して、

生地を買いに行ったり、型紙を作ったり、袋を用意したり、

いったいどのくらいの時間がかかったんだろう。

それもたった4人で。しょえー

帰りにお茶を1本ずつ報酬としていただいた。

みんなその場でぐびーっと全部飲んでたけど

私はカバンに入れさせてもらった。

なんでみんな飲めるんだろう・・・

*私は緊張から基本外出先で飲食ができない

今日は放課後の集まりだったので

さくらはバスに乗らずにそのまま幼稚園にとどまっていた。

どれだけ他の子と違うんだろう。

と作業をしながらちらちら観察してみる。

その一場面だけを見ると普通の子と同じように見えるんだけど

相手のいる遊びが持続しないことに気がついた。

たとえばカルタをしているところへ

「さーちゃんもいーれーてー」と言いながら座るんだけど

すぐ立ち上がって違うところへ行ってしまう。

外でボール蹴りをしていてもボールが転がって

それをお友達が取りに行っている間にどこかへ行ってしまう。

といった感じ。

教室の中で作業をしている私の所へもちょろちょろ来るんだけど

そこらへんは家でのやり取りと同じなので

変なのかこれで普通なのはか分からない。

他の子を見ていてもさほど大差ないような気がする。

えー もー どこが変なのか分からないー

私には普通の子に見えるんだけどなー

帰る前に先生と少しお話。

「療育センターの受診ありがとうございました。

先生のお手紙を読んでみんなでいろいろ意見を出し合ったんですけど、

教室の隅にさくらちゃんスペースを設けてみたんですよ。

みんなと同じことをしたくない時はここにいていいよって。

教室にいることでみんなが何をしているのか分かりますし、

興味があればちょっとやってみようかなって思えるのでいいかなと。

そうしたらお外に出る時間がぐっと減ったんです。

これを作った日はほぼ1日中ここで過ごしてましたよ。」

と教えてくださった。

さくらちゃんスペース!

すごいな。いいなさくらそんなの作ってもらえて。

でもそういうスペースがあれば教室にいられるってことは

教室より外が魅力的というわけではなくて、

みんなと一緒に座るのが苦痛とか、そういうことなんだろうか。

やろうと思えばできると思ってたけど

もしかするとそうじゃないのかもしれない。

あんなに笑顔で楽しそうなのに内面は違う感情があるってこと?

それともただ目新しいからいただけ?

あー もー わからないー




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